お知らせ

2月29日卒業式での学校長式辞

24.03.01

大阪成蹊女子高等学校 第76回 卒業証書授与式式辞


ただいま卒業証書を授与しました463名の皆さん、卒業おめでとう。

暖かくなったり、寒くなったりを繰り返しながらも、季節は着実に進み、学園の桃の蕾もふくらみ始めました。
まだ浅きとはいえ春の訪れを想うこの佳き日に、旅立ちの時を迎えた皆さんの、晴れやかな、成長した姿を見ることができたことは、私たち大阪成蹊女子高校の教師にとって、この上ない喜びです。

また、本日は、卒業生の皆さんを祝福するために、多くの方が駆けつけてくださいました。
大阪成蹊学園蹊友会会長様、同じく後援会会長様 はじめ、ご来賓の皆さま、ご多用中にも関わりませず、ご臨席を賜りましたこと、厚く御礼を申し上げます。
またこれまで卒業生たちを見守ってくださり、暖かなご支援を賜りましたこと、重ねて御礼を申し上げます。

そして、本日、ご列席をいただきました保護者の皆様、お子様のご卒業、おめでとうございます。
心よりお喜び申し上げます。
また、これまで本校の教育活動に、深いご理解と多くのご協力をいただきましたこと、厚く御礼を申し上げます。
これまで様々なご心配、ご苦労をなさりながら、お子様の成長を見守ってこられたことと存じます。
今日、こうして卒業の日を迎えたお子様の姿をご覧になられて、「本当に大きくなった」と、喜びを噛みしめていらっしゃることと拝察いたします。
改めまして、お子様のご卒業をお喜び申し上げます。

さて、卒業生の皆さん、改めて、卒業、おめでとう。
高校生活も今日で終わり、いよいよ旅立ちの時です。
入学してからこの日を迎えるまで、皆さんそれぞれに、本当にいろんなことがあったと思います。
決して楽しいことばかりではなく、時には涙し、時には思い悩んだこともあったでしょう。
でも、そんな時、あなたの横には必ず友達がいたと思います。
修学旅行、体育祭、文化祭、毎日の学校生活。
授業時間、休憩時間、昼休みや放課後のひと時。
そこにはきっとあなたと同じ時間を過ごした友達がいたと思います。
それこそが、あなたが大阪成蹊女子高校で得た宝物。
その宝物を胸に、これからの新しい日々に向かっていってください。

では、卒業に当たり、皆さんに一つの言葉を贈りたいと思います。
それは、「すべては一匹のネズミから始まった」という言葉です。
これは、皆さんもよく知っているミッキー・マウスの生みの親、ウォルト・ディズニーの言葉です。
彼の作ったウォルト・ディズニー社は、昨年、創業100周年を迎えました。
1901年、アメリカのシカゴで生まれたウォルトは、少年時代から絵を描くことが大好きだったそうで、その絵を生かした仕事に就きたいと考えていました。
高校卒業後、広告デザインの仕事も経験しますが、すぐに解雇されます。
自分で会社を立ち上げても、うまくいきません。
そんなとき、彼はアニメ広告を作る会社にアニメーターとして採用され、だんだんとアニメーションづくりに夢中になっていきました。
彼は、映画産業の本場、ハリウッドに移り住み、そこで新たに会社を立ち上げ、アニメ制作を始めていきます。
その中で彼は、オズワルドという「ウサギ」のキャラクターを考案しました。
このオズワルドがヒットするのですが、やがて取引先とのトラブルからウォルトの会社は立ち行かなくなってしまいます。
彼は失意の中でも諦めず、友人と会社の再建にあたりました。
そんな中、新しいキャラクターとして生み出したのが「ネズミ」のキャラクター、そう、あの「ミッキー・マウス」だったのです。
ミッキーが大ヒットし、ディズニー社は一気に成長します。
その後、「白雪姫」、「ピノキオ」、「シンデレラ」など、皆さんもよく知っているようなアニメーション映画を次々と発表し、そして1955年、アメリカで「夢と魔法の国」、あの「ディズニーランド」がオープンしました。
ミッキーが誕生してから約95年。
ミッキーは未だに色褪せることなく、私たちに夢を届けてくれています。
ウォルト・ディズニーは、後に、こんな言葉を残しました。
「すべては夢見ることから始まる。」
「夢を求め続ける勇気さえあれば、すべての夢は必ず実現できる。」
「これだけは決して忘れないでほしい。『すべては一匹のネズミから始まった』ということを。」

卒業の日を迎えて、明日から新しいステージに歩み出す皆さんの胸の中には、それぞれ素敵な夢があるでしょう。
将来の仕事に関する夢、趣味に関する夢、ささやかな夢、叶いそうもないほど大きな夢。
どんな夢でもいい。一つでも、複数でもいいので、夢を持ってください。
全てはそこから始まります。
そして、夢を持つからこそ、人は努力します。
その夢をつかもうと、顔をあげ、前を向き、歩み続けます。それが、あなたたちの人生を豊かに、そして楽しいものにしていきます。
ただ、それは楽な道ばかりではないかもしれません。
なかなか思うように進まないかもしれません。
でも決して諦めず、投げ出さず、勇気を持って、あなたの夢を追い続けてください。
ウォルト・ディズニーも「大好きな絵を描くことで人々を喜ばせたい」という少年の頃の夢を追い続けたからこそ、「一匹のネズミ」を生み出すことができ、それが大きな実を結ぶことになりました。

皆さんも、是非、夢を求め続けてください。
自分を信じて、諦めないで、その夢を追いかけてください。
諦めさえしなければ、可能性は無くなりません。
そして、誰が何と言おうと、自分自身の人生です。思いっきり、楽しんできてください。

さて、お別れの時が来ました。皆さんにとっては新しい毎日の始まりです。
どうか、健康にだけは気をつけて。
いってらっしゃい。

大阪成蹊女子高校を卒業し、社会へ出ていくあなたたちが、いつの日か多くの夢を叶えて、豊かな人生を送られんことを、そして、あなたたちの人生が幸多きものとなりますように、心からお祈りし、私の式辞といたします。
卒業、おめでとう。

令和6年2月29日

大阪成蹊女子高等学校 校長 向畦地 昭雄


<参考文献>
講談社編集、小宮山みのり・野中和代訳「ウォルト・ディズニー 夢をかたちにする言葉」2023年、講談社
ボブ・トマス著、玉置悦子・能登路雅子訳「ウォルト・ディズニー 創造と冒険の生涯 完全復刻版」2017年、講談社
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