お知らせ

10月1日全校朝礼での学校長講話

16.10.01

平成28年度 大阪成蹊女子高等学校 10月全校朝礼講話

 
今年の夏は、大変暑さが厳しかったですが、ここ最近は朝晩に、秋の気配も感じるようになりました。今日から10月を迎えます。
9月に行われた文化祭やコーラスコンクールは、大いに盛り上がり、今年もすばらしい企画となりました。多くの皆さんが、それぞれの持つ力を十分に発揮し、クラスによって多少の差はあっても、クラスがまとまり、企画委員さんの努力もあり、学校行事を成功に導いてくれました。この2日間の来場者数はおよそ3200人で、過去最多の来場者数でした。全員で努力し、頑張った成果だと思います。ほんとうによく頑張りました。
しかし、今年の4月から現在まで、これまで度々、生活指導部の先生方の注意や警告があるにも関わらず、SNS上に不適切な画像や、他者を傷つけるメッセージを乗せる事例があり、厳しい処分が続いています。
繰り返しますが、SNSでは、相手の顔が見えない情報という特性から、相手に対してこちらの思いや考えが正確に伝わりにくい面があり、多くの危険と問題性を抱えています。
 
今日は、関連する言葉の大切さと心の在り様についてお話をします。
皆さんが、友だちに自分の気持ちを伝えようとして、言葉がけをする場面を想像してください。友達に話しかけ、コミュニケーションを取る場合、相手に伝えるのは、「言葉」と皆さんの「心」です。今、ここにテニスボールがありますが、このテニスボールを自分の「心」だと思ってください。その「心」を、人が話す言葉と一緒に相手に伝えたいと思います。言葉は、「ありがとう」です。
まず、相手に「ありがとう」と言いながら、その感謝の気持ち、心を込めてボールを相手に投げたいと思います。おそらく普通は、優しくボールを投げながら「ありがとう」と言うでしょう。次に、そのボールを受け取った人が、相手にボールを返す時、笑顔で「ありがとう」と言いながら、全力で強くボールを投げつけたとします。そしてボールを受けた人にインタビューします。「どんな気持ち?でした」
恐らく、強いボールが返ってきた人には、「なんで、そんなに怒っているの」と、嫌な気持ち、不快な気持ちになるでしょう。つまり、ボールは心のあり方を示すものです。同じ、「ありがとう」と言う言葉であっても、『言葉』と『心』が一致せず、投げられるボールの状況、その心によって、受け取る方の感じ方は全然異なるものです。
次に、もう一度、相手にボールを投げるように丁寧に促します。相手は、「ありがとう」と言いながら、さらに心を込めてボールを投げるでしょう。その時、もし、受け取るほうが、その丁寧なボールを無視して受け取らなかったとします。そして,ボールを投げた人にインタビューします。「どんな気持ち?でした」
恐らく投げた人は、この場合も、嫌な気持ち、不快な気持ちになるでしょう。
ボールを強く投げ返されたり、ボールを受け取らず無視されるのも、どちらも悲しくて相手が傷つきます。つまり、人に話しかける場合は、『言葉』と『心』が一致することが大切で、「心や態度が強すぎないか、弱すぎないか、相手を無視していないか、傷つけていないか」、自分の『言葉』と『心』がちゃんと伝わっているか、いつも意識してほしいと思います。コミュニケーションがとれる人、コミュニケーション力のある人は、『言葉』と『心』が一致している人と言えるでしょう。
 
さあ、SNSに戻ります。ツイッターやラインには、いろいろな言葉がかかれます。それは『言葉』だけです。投げられるボールや返ってくるボールはありません。つまり、『心』がないのです。SNSは事務連絡としては便利なツールですが、人と人のコミュニケーションを取る道具としては、「心」が伴わない、誤解を生みやすい、危険なツールであるということを改めて皆さんに知ってもらいたいと思います。
 
言葉にはそれぞれ、心が込められ、人と人が繋がるのだということ、更に言葉の大切さも学んで欲しいと思います。最後に、次の詩を紹介して終わりたいと思います。
 
ひとつの言葉でけんかして  ひとつの言葉で仲直り
ひとつの言葉で頭が下がり  ひとつの言葉で心が痛む
ひとつの言葉で楽しく笑い  ひとつの言葉で泣かされる
ひとつの言葉はそれぞれに  ひとつの心をもっている
きれいな言葉はきれいな心  優しい言葉は優しい心
ひとつの言葉を大切に   ひとつの言葉を美しく
 
この詩の作者は誰なのか、はっきりしていませんが、実に言葉と人の心の在りようを示していると思います。
 
この10月も、本校で学ぶすべての皆さんが、言葉を大切にして、すばらしいコミュニケーション力を磨かれることを期待しています。
 
また、この後も英語でのコミュニケーション力を高める機会が設けられます。世界的な英語の検定試験であるTOIECの希望者研修、オーストラリア語学研修の募集も始まります。様々な機会を捉えて、皆さん方の学びとコミュニケーションのスキルが向上することを願って、10月の講話とします。
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