お知らせ

3月2日卒業式での学校長式辞

19.03.02

大阪成蹊女子高等学校 第71回卒業証書授与式式辞

 

建学の精神に由来して植えられている校庭のスモモの木も、つぼみが膨らみ始めました。季節を告げる花々は、確実に春の訪れを身近に伝えてくれています。

 

このような佳き日、大阪成蹊女子高等学校第71回卒業式を挙行いたしましたところ、日頃よりご支援を賜ります後援会会長の寺家様をはじめ、蹊友会会長の薮田様、PTA会長の奥様、学園の皆様、PTA役員の皆様方にご臨席を賜り、巣立ちゆく本校生の門出を祝福していただき、心よりお礼を申し上げます。

 

卒業生は、ただ今卒業証書を授与しましたとおり、普通科キャリア進学コース288名、幼児教育コース187名、スポーツコース36名、キャリア特進コース34名、美術科アート・イラスト・アニメーションコース111名、計656名でございます。

本校のこれまでの卒業生の総数は、およそ3万5千人を超える卒業生を世に送り出したことになります。卒業された多くの諸先輩は、社会で活躍されており、本校で学び、身に付けられた力を、世界を舞台にして存分に発揮される方もおられます。卒業にあたって、改めて本校の85年の伝統と歴史を感じるとともに、卒業される皆さんのこれからのご活躍を祈念する次第です。

 

ご多忙の中、ご参列いただきました保護者の皆さまは、さぞかしお喜びのことと拝察し、心からお祝い申し上げます。

本校は、大阪府内の人気のある私立女子校として、8年連続入学者数第一位を誇っています。そして今年は、近年最大となる656名の生徒を卒業させていただきました。本年も私立女子校として突出して多くの入学生を迎えようとしています。

それは、大規模の学校であっても一人ひとりの生徒を大切にすることを教育活動に取入れ、本学園の建学の精神を柱とする心豊かな人間教育と、将来の夢を実現する力を育んできた教育方針が広く理解され、ご支援を得た結果であると思っています。

私たち教職員一同は常に生徒に寄り添い、生徒たちの成長を見守りながら、高校生活が充実したものになるよう精一杯努めてきたつもりです。時には厳しい指導もありましたが、生徒への愛情を忘れず、全力を挙げて生徒たちを導いてまいりました。そして今、生徒たちが、大阪成蹊女子高校の卒業生の名に恥じないまでに成長を遂げ、自信を持って世に送り出すことは、私たち教職員の大きな喜びでございます。

その間、本校の学校運営に対して、PTAの皆様をはじめとして、関係諸団体の方々の温かいご理解とご支援をいただきましたことに厚くお礼申し上げる次第です。ありがとうございました。

 

さて、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。

私は3年前の入学式で、新たに迎える高校生活に、2つのお願いをしました、一つは何のために学ぶか、学ぶための目標をもって欲しいということ、そして、2つ目は何事にも積極的に、努力を怠らないということをお願いしました。さあ、振り返って、皆さんの高校生活はどうだったでしょうか。

本校で何を学ぶかという回答は、卒業する今、答が見つかってきたのではないでしょうか。多くの生徒の皆さんが、大学や短大、あるいは就職と次のステップに進まれます。将来につながる学びを本校で積み上げてこられたと私は思っています。

そして、卒業にあたって、入学式と同じように、再び2つのお願いをしたいと思います。一つは何のために生きるか、生きるための目標をもって欲しいということ。そして、2つ目は、主体的に生きるということ。人生の目標が定まれば、人はそれに向かって主体的に生きることができます。現在、女性の社会進出はより拡大しており、十分ではないかもしれませんが、いろいろな場面で女性が活躍できるようになってきています。個々の女性にとって主体的に生きることは、今、最も必要なことなのです。

 

国連の組織の一つである「国連女性の地位委員会」は、政治・社会・教育分野等における女性の地位向上に向けて世界で活動している組織です。この委員会の日本代表を務められた橋本ヒロ子さんは、女性の生き方に示唆に富んだ言葉を残されています。

「昔から女性は家庭で働き続けている。その働きは誰のためであったのか、時に考え、時に悩むこともあった。今の社会では、働くことが女性の自立につながっている。そして、人が生きる権利や社会に参加する権利には、男女による違いはない。」と、

先生の言葉のとおり、これからの社会では今以上に女性の社会で活躍する場面が増えており、真の男女共同参画型の社会が求められています。またそうならなければ、労働人口が減少する日本の将来に希望はありません。

そのためにも皆さん方は、周りに流されることなく、女性として主体的に生きる力をぜひ磨き上げてください。三年間、女子校である本校で、体育祭・文化祭をはじめとした学校行事、様々な活動、部活動など、皆さんたち女子生徒が主体となり、すべての活動を盛り上げ、立派にやりとげてくれました。将来に必要な、主体性の基礎となる礎(いしづえ)は本校で積み上げられました。卒業した後、その上にさらに主体的に生きる力、スキルを積み上げてください。その力には、物事の本質を見極める力、また時の移り変わりを直視し、自らがその中に入り適応する力など、様々な高い能力が求められます。本校で学んだ基礎的な生きる力を、卒業後も更に開花し、皆さん方一人ひとりが大きく成長されることを願ってやみません。

 

いよいよ、お別れの時がきました。

本学園を卒業される皆さんは、本校85年の歴史のうち僅か3年を過ごしたにすぎません。しかし、その期間は短くても、明らかに一人ひとりがこの大阪成蹊女子高校の歴史の中で学び、成長しました。本分である学業はもとより、建学の精神である他者と自分との関係性を高めることの大切さなど、人として必要な力を十分に育んでこられました。

これからの長い人生を主体的に生き、素晴らしい人生を歩まれることを期待しています。改めて、ご卒業おめでとう。そして、皆さん、さようなら。

旅立たれる皆さんのご多幸を心からお祈りして、お別れの式辞とします。

 

平成31年3月2日

大阪成蹊女子高等学校長 紺野 昇

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