お知らせ

3月22日終業式での学校長式辞

19.03.22

平成30年度 大阪成蹊女子高等学校 第3学期終業式式辞

 

桜の花も咲き始め、春の訪れを感じるようになりました。

今日は平成30年度の3学期の締めくくりを迎えます。

 

2年生の皆さんとは、1年ぶりに校長として、こうしてお話しできることをうれしく思っています。

また、1年生の皆さんとは、ここでは初めて顔をみる機会になりましたが、昨年から大阪成蹊短期大学の学長として、学園内で皆さんを見守っていました。

引き続き、来年も校長と学長を兼務しますが、皆さんと一緒に大阪成蹊女子高校を盛り上げて行きたいと思っています。

 

さて、年度末ですが、この1年間は、皆さんにとって、どのような年だったでしょうか。

1年という時間の長さは誰にも同じ長さですが、人それぞれに感じ方や思いも違うもので、努力した程度も、人それぞれに違いがあったのではないでしょうか。

多くの生徒が頑張った平成30年度と思いますが、自分本位ではなく、友だちと一緒に学び、成長してくれたでしょうか。

 

私は20年前には、府立高校の定時制で教頭をしていました。その当時に聞いた話です。

定時制の高校には、様々な生徒が通っています。

その生徒は、30歳近い大人の生徒で、下に2人の兄弟が居ました。

彼が、小学校に入って間もなく、お父さんが癌でなくなってから、収入が安定しないパートの母親だけでは生活できず、彼は新聞配達をしながら母親を助けて、弟と妹を育てなければなりませんでした。

朝早くの新聞配達では、大人の人の2倍も配達しました。

おかげで小学校では遅刻の常習、授業中は寝てばかり、学校が終われば、また夕刊の新聞配達。そのため、学校の宿題もなかなかできず、結果、先生には怒られ、成績はいつもビリだったそうです。

でも、仲のいい友達は何人ができました。彼にとって、学校で友達と喋ることが唯一の楽しみだったようです。

お母さんは子供3人養うために、夜も寝ないで必死に働いたようですが、すごい貧乏だったとか。どん底の生活だった・・・ようです。

そして彼は中学卒業してすぐ鉄工所で働きに出ました。

弟と妹が学校を卒業するまで、遊んでいる暇もないほど、死ぬほど働いたとか。

ある時、中学校を卒業して、1年ぐらいして高校生になった同級生に久しぶりに会ったのです。

友達とご飯を食べに行こうということになって、安い食堂に二人で入りました。

 

でも、勉強しなかった彼には食堂のメニューに書いてある漢字が・・・読めなかったのです。

読めたのは、一つだけカタカナで書いてあった「オムライス」だけ。

同級生は「焼きそばとごはん」って注文しました。

無知な彼は「じゃあ俺はオムライスとごはん」と店員に言いました。

実は彼はオムライスを食べたことがなかったのです。

メニューを聞いた店員は、固まってしまったのです。

回りの席からは、クスクスって笑い声も聞こえてきた。

一瞬にして、彼は恥ずかしいと感じたようです。

そうすると、同級生は周りの雰囲気を感じて、店員さんに「さっきのキャンセルね!!俺もオムライスとごはん!!」・・・って。

 

店を出た後、同級生が一言、「うまかったな」って言ってくれたそうです。

そして「仕事、体に気つけてがんばれよ」って言ってくれたのです。

別れてから、涙が止まりませんでした。心の底から友達に「ありがとう」って思ったそうです。

そして、友達のおかげで、頑張れると思ったらしいのです。

 

弟と妹が高校を卒業した後、彼は定時制高校に入学しました。

30歳近くになって高校を卒業します。

卒業生はわずか30人ほどでしたが、彼はトップの成績で卒業し、総代として校長から卒業証書を受け取りました。

その当時の彼の苦しさを知っている、担任、彼だけは、周りから驚かれるほど、泣いたそうです。

 

私は、将来の目標に向かって一生懸命に勉強し努力する生徒が大好きです。

そして、周りの人の気持ちを理解し、周りの人のための行動できる人がもっと好きです。友達のために「オムライスとごはん」と言える人になってください。

私の大好きな成蹊の生徒の皆さんが、4月から2年生あるいは3年生になって、それぞれの目標の実現に向かって精一杯努力し、友達を大切に、そして一緒に成長することを願って平成30年度のしめくくりとします。

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