令和2年度 大阪成蹊女子高等学校 入学式式辞
世界中が不安と不自由を感じる日々ではありますが、満開の桜と陽春の温かさが告げる春の訪れに癒されます。
この佳き日に、大阪成蹊女子高等学校の入学式を挙行できますことは、教職員一同、この上ない喜びであります。
今般の事情により、大阪成蹊学園石井理事長、大阪成蹊大学武蔵野学長、そして大阪成蹊短期大学紺野学長をはじめ、ご来賓の方々のご臨席は叶いませんでしたが、PTA役員の方にはご出席いただき、感謝申し上げます。
また、モニターを通してではありますが、保護者の皆様におかれましては、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
私たち教職員一同、全力でお子様の教育に取り組んでまいります。
ご家庭におかれましても、本校の教育方針にご理解、ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。
(午前)ただ今、入学許可をした、普通科キャリア進学コース160名、キャリア特進コース16名そしてスポーツコース57名、計233名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
教職員ならびに在校生一同、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎します。
(午後)ただ今、入学を許可した、幼児教育コース98名、音楽コース53名そして美術科アート・イラスト・アニメーションコース87名、計238名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
教職員ならびに在校生一同、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎します。
今日から始まる高校生活は、長い人生の中でわずか3年間です。
しかし、皆さんの心も身体も大人へと成長していく最も大切な時期でもあります。
人生を振り返った時に忘れられない3年間であってほしいです。
そこで、私から2つのことをお話しします。
1つ目は、高校生になったという覚悟を持ってほしい、ということです。
本校には、本日入学をした皆さんを含め、1400名近い生徒が在籍をしています。
集団としてのルールや約束事を守ることはもちろんですが、高校生になったのだから他人から言われなくても自ら考える、自ら動く、という覚悟を持ってほしいのです。
覚悟が足りなければ、逃げることや甘えることが多くなり、自分の都合の良い考え方へと変化していきます。
本校生の一人ひとりが、「居心地の良い距離感が保てる」よう、覚悟を持って自分自身をコントロールできる集団であることを強く願います。
次に2つ目です。それは「考えるという武器を持つこと」です。
私たちは毎日が同じことの繰り返しだと、「平凡でつまらない」とやや不満を感じますが、今のように私たちが普通だと思っていることができないと、「いつも通りじゃない」とまた不満を感じます。
しかし、どのような局面でも、考えて知恵を出し合い、工夫と努力、チームワークで乗り切ろうとするのも私たち人間です。
今はまさにその時です。
最近、特に「働き方改革」という言葉がよく出てきていると思います。
皆さんは働いていない、と思っているかもしれませんが、皆さんが職業を尋ねられたら「学生」あるいは「高校生」と答えます。
その仕事内容は、「学習」「勉強すること」であることは明らかです。
体調を整え、欠席や遅刻をせずに登校し、授業を受けるという、皆さんが普通だと思っていることを大切にするのは当然ですが、今はそのこともできません。
授業を受けることについても、先生の話をしっかり聞き、先生が黒板に書いたことをノートに写し、そして出された宿題をやることと、考えることも大切ですが、これも今は実行できません。
そこで、「働き方改革」です。学校が再開されたら何となく毎日授業を受ける、という働き方ではなく、「自分で考えるという準備をする」それが大切です。
何を準備して授業を受ければいいのか考える、あとで見て内容がわかるノートにするために授業の聞き方やノートのとりかたを考える、習ったことが身につく自分のやり方を考える、うまくいかなかったらより良い方法を求めてまた考える。
さぁ、高校生になったら頑張るぞ!と思っていた気持ちを、今どこにぶつければいいのかわからなくなってしまっているかもしれません。
皆さんが迷いながらも家庭で様々な準備をしていることを想像しながら、本校の先生たちもまた迷いながらだけれども、皆さんと同じように学校再開を楽しみに準備をしています。
先生たちの「わかる喜びがちりばめられた授業」に期待してください。
学校再開が許可されたその日から何事もなく始められるよう、健康を第一に過ごし、考える準備ができた皆さんと会えることを願って、私の式辞といたします。
令和2年4月7日
大阪成蹊女子高等学校長 若林 智子