お知らせ

4月7日入学式での学校長式辞

23.04.07

令和5年度 大阪成蹊女子高等学校 入学式式辞


新入生の皆さん、入学おめでとう。
大阪成蹊女子高校へようこそ。
今年は季節の巡りが速く、もう藤の花が開き始めているのを見かけました。
新緑も映え、躍動感、生命感あふれる素晴らしい季節の中、希望に満ちた皆さんを迎えることができ、心から嬉しく思います。

そして、これまで、ご心配、ご苦労をなさってこられました保護者の皆さま、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
心からお喜び申し上げます。
また、本日、ご多用中にもかかわりませず、お越しくださいました
学園蹊友会、後援会、本校PTAの各御代表様 学園関係者の皆様をはじめ、多くのご来賓の皆さま、ご臨席を賜りましたこと、厚く御礼を申し上げます。

さて、新入生の皆さん、今日から高校生です。
そして、ここ、大阪成蹊女子高校での新しい生活が始まります。
その最初にあたり、二つのことを、皆さんに伝えたいと思います。

一つめは「自分の言葉を持つ」ということです。
日本でiPhoneが最初に発売されて15年が過ぎました。
スマートフォンという電話機能のついた手のひらサイズのコンピュータは、今や我々の生活に深く入り込んできました。
そして今、対話型AIと呼ばれるものが急速に発達してきて、キーワードを入力すれば、手紙まで書いてくれるそうです。
自分の感情も代弁してくれることになるのでしょうか。

今日から始まる新しい毎日の中で、自分自身の意見を伝えたり感情を表現したりする場面がたくさんあると思います。
新しいクラスメイトに自分をわかってもらうためにも、相手をよく知るためにも、誰かの言葉やネットの知識ではない、「自分の言葉」は大切です。
例えばAIが「とっても楽しかった」という文章を打ったとしても、それはAIがネット上のたくさんの情報から「楽しい」というキーワードでヒットする情報を集めて提示しているだけで、AIがあなたの感情を理解して代弁してくれるのではありませんよね。
なぜ楽しかったのか、どのように楽しかったのか、本当のところは自分しかわかりません。
自分の感情を人に伝えることができるのは、自分だけだ、ということです。
例えば「楽しい」であれ「悲しい」であれ、相手にわかってもらうためには、それを表現できるように、言葉をたくさん持つことが大切です。
自分がどのようなことを感じているのか、どのようなことを考えているのか、自分と向き合いながら、自分の考えや感情を自分の言葉で相手に伝えられるようになってほしいと思います。

そして二つめは、その伝え方についてです。
先ほど、スマホの話をしましたが、SNSというツールが登場し、人々のコミュニケーションのあり方も大きく変化し、10文字、20文字程度の短いやり取りが頻繁に行われるようになってきました。
友人との間だけではなく、今は職場でもメールやチャットなどが多く利用されています。
目の前のデスクに座っている同僚から、メモ程度のとても短い内容のメールが送られてきて、言葉のやり取りは無し。
メールだけで大丈夫という世代と、メールより話しかけて伝えたほうが速くて確実だと思う世代との間にギャップも生まれています。
一方的に何かを相手に伝えるだけなら、「コミュニケーション」とは言いません。
本当のコミュニケーションとは、相手とお互いに言葉などを交わしながら、お互いの持っている情報や感情を共有したり、理解し合ったりする行為です。
最近、社会人に求められる力の一つに「コミュニケーション・スキル」というのがよくあげられますが、是非それを高校時代にしっかりと身につけてほしいと思います。

「自分の言葉を持つ」、「コミュニケーション・スキルを高める」。
では、どうすればいいのでしょうか。
簡単です。
友だちといっぱい話をしてください。
身近なこと、将来のこと、社会のこと。
どんなことでもいいので、いっぱい話をしてください。
そうすると、相手のこともわかってくるし、自分のこともわかってもらえます。お互いのことがわかると、そこにいることが安心できるようになりますね。
コミュニケーションを深めることで、お互いに信頼関係ができていく、ということです。
そしてもちろん、コミュニケーション・スキルもついてくる。
話しかけにくかったら、まずは「おはよう」から始めましょう。
「おはよう」って自分から相手に伝えましょう。
「おはよう」って言われたら、「おはよう」って返しましょう。
それが相手の存在を認める第一歩にもなりますし、人間関係の基本でもあります。
 
でも、あまり難しく考える必要はありません。
本校での生活にどっぷり浸かってください。
「自分の言葉を持つ」ことも「コミュニケーション・スキル」を高めることも、本校で学ぶうちに自然と身についてきます。
だから心配せずに、高校生活を充実させてください。
クラブや行事にも積極的に参加しましょう。
そうすると、しんどいときもあるかもしれないけれども、きっと、「自分は大阪成蹊でがんばった」という自信と、かけがえのない一生の友だちができると思います。
だから、自分を信じて、何にでも挑戦してみてください。

今春卒業した皆さんの先輩で、ある行事の実行委員長を務めた生徒の言葉を紹介します。
「勇気を出したら世界が変わりました。
どうするかはあなた次第です。
私は楽しかったですよ。」
大阪成蹊女子高校でよき友人をつくって、よき高校生活を送ってください。
 
最後になりましたが、保護者の皆さま、改めましてお子様のご入学、誠におめでとうございます。
私たち、大阪成蹊女子高校の教職員は、生徒、一人ひとりを丁寧に支援してまいります。
ご家庭におかれましても、本校の教育活動にご理解を賜り、ご協力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

また、お忙しい中、ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまにおかれましては、今後とも、本校の教育活動に、一層のご支援を賜りますようお願い申しあげまして、式辞といたします。
令和5年4月7日
 
大阪成蹊女子高等学校
校長 向畦地 昭雄
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